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京都地方裁判所 昭和60年(わ)548号 判決

本籍並びに住居

京都市山科区小山北林町七番地

農業

中川増穂

昭和三年二月一三日生

右の者に対する相続税法違反被告事件について、当裁判所は検察官山田一清、弁護人(私選)前掘克彦各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、中川佐一の長男で京都市山科区内で農業を営むものであるが、全日本同和会京都府・市連合会会長鈴木元動丸、同会事務局長長谷部純夫らと共謀の上、実父中川佐一が昭和五七年一〇月一四日死亡したことに基づく被告人の相続財産にかかる相続税を免れることを企て、実際の謀税価額が五億三、二八九万六三二円で、これに対する相続税額は一億四、五九五万七、六〇〇円であるにもかかわらず、被相続人中川佐一が有限会社同和産業(代表取締役鈴木元動丸)から三億五、〇〇〇万円の債務を負担していたと仮装するなどした上、同五八年四月一一日、京都市東山区馬町通東大路西入新シ町所在所轄東山税務署において、同署長に対し、相続財産の課税価額が九、四二五万六、二二三円で、これに対する相続税額は三七一万三、四〇〇円である旨の虚偽の相続税申告書を提出し、もって不正の行為により右相続にかかる正規の相続税額一億四、五九五万七、六〇〇円との差額一億四、二二四万四、二〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判延における供述

一  被告人の検察官に対する共述調書(検13ないし19)

一  証人西川平及び同高山弘の当公判廷における各供述

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書」「証明書」及び「報告書」(謄本)と題する各書面

一  京都府山科区長作成の除籍謄本

一  中川綾子、善辻さき江、船野里子、中川良雄、長谷部純夫(抄本)、鈴木元動丸(抄本)及び西川平(抄本)の検察官に対する各供述調書

一  裁判所書記官作成の証人長谷部純夫の証人尋問調書(京都地方裁判所昭和六〇年(わ)第七一七号事件)(謄本、二通)

(法令の適用)

判示所為

刑法六〇条、相続税法六八条(懲役刑と罰金刑とを併科)

労役場留置

刑法一八条

執行猶予(懲役刑)

同法二五条一項

訴訟費用の負担

刑事訴訟法一八一条一項本文

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 松丸伸一郎)

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